トランスフォーマー/ONE (2024)

トランスフォーマー(以下TF)シリーズを代表するヒーロー、オプティマス・プライム(旧コンボイ)と、同じくシリーズの顔であるヴィラン、メガトロンの交流と決別を描いたCGアニメ作品…だが、最初にこの映画の存在を予告編で知ったときは「えらいニッチな映画をやるんだなぁ」という印象だった。いわゆる『X-MEN: ファーストジェネレーション』や『シスの復讐』的な話だし、それを(一応子供向けの)TFでやるのは需要あるのか1?とは思っていたので、完全オタク向け映画だと決めてかかって行ったら普通に家族連れが半分くらいだった。まぁそりゃそうか…

ただ内容は子供向けなのかというとそうでもなく、過去編ということでかなりコアなネタも拾っている。
TFシリーズといえば初代をはじめとするTVアニメや3DCGの『ビーストウォーズ』、そして実写シリーズなんかが有名だが、実はファンコミュニティや設定の大きな屋台骨としてはコミック2媒体も存在している。コミックは高めの年齢層をターゲットとしているのでダークで重厚な展開も多くオタク受けは良いのだが、今回の映画はコミックを元とする設定も多かったりして非常に凝ったものだった。どこらへんがどうだったというのはかなりのオタク語りになるのでここでは割愛します。
しかしやはり子供もターゲットではあるので、序~中盤はだいぶ『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』っぽい軽いノリの冒険譚が続き、ちょっと退屈な部分もあるっちゃああった。それでもやはり親友との決別、サイバトロン星の興亡と二大勢力の果てしない戦争へ収束していく後半はTFオタクとしてはグッとくる部分はあると思う。それこそ『ファーストジェネレーション』や『EP3』のような破局のカタルシスとも言っていい。

TFに限らないが、アメコミの世界観の正史(canon)というのはとてもアバウトに定義されていると思う。映画でもアニメでも面白い設定はなんでもコミックに取り入れるし、その逆も然りだ。TFも実写で出てきた設定やキャラがアニメに流用され、コミックで描かれ…という感じで脈々と受け継がれて肉付けされたものが「正史」となっていく。さらにそれらをまとめて「マルチバース」という枠組みになる。
『トランスフォーマー/ONE』にもオリジナルの設定は多い。そもそもオプティマスの前身のオライオンとメガトロンの前身のD-16が親友だったというのもそこまで「正史」寄りの設定ではないと思う。初代のアニメの過去回では全然違う話だったしね。ただそれでも次に発表されるコンテンツは『ONE』を踏まえたものになるだろうし、『ONE』から初登場したキャラも新しいアレンジを加えられて次に受け継がれていくのだろう。そして自分はまさにTFのそういう自由さが大好きなのだ。

総評するとまぁ「好きなら観ろ!」なのだが、好きな人は言わなくても観てるだろうからなんとも…

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