君たちはどう生きるか/The Boy and the Heron (2023)

今さら見てきた。わざわざ英題を付けてるのはカッコつけているわけではなく英語吹き替え・字幕版を見てきたからだ。日本語版でちょうど良い時間が無かったからというのもあるが、ジブリ映画をこういう仕様で見ることもあまりないし、まぁ良い体験になるだろうと思ってのことだった。アカデミー賞さまさまである。

少し自分のジブリ遍歴の話をすると、ハウル(もっと言うと千と千尋)以降から宮崎駿映画とは割と距離を置いていた。その主な理由はそこらへんの作品から強調されだす難解さ・グロテスクさが自分にはあまり合わないと感じてきたからで、もっと平たく言うと「最近の駿作品はよくわからなくて気持ち悪い!」と思っていたのが理由だった。

そういったわけでネタバレについてもそこまで気にしていなかったというか、どうせ140字やそこらで説明できる内容でもないだろう、と思っていたので本作もノータッチで放置していた。事実、公開当初は「見た」「良かった/悪かった」以外の感想はあまり無く、結構フワフワしたレビューが多かった気がする。ネタバレに配慮してた可能性もあるけど。自分が今回見た理由も、なんとなく見ていなかった映画を見てみようと思ったのと、たまたま良い時間にこれがやってたというだけである1

そんなこんなでなんとなく見てきたのだが、一番の感想としてはまずアニメーションに感動した。天下のスタジオジブリの作品なんだから当たり前だろと言われたらそれまでだが、これまで自分の中で(金曜ロードショーで)築かれたジブリ作画の丁寧なイメージを更に超えてきたという印象だった。冒頭数分で作画や絵作りに圧倒されたし、「美しさ」というただ一点だけでもまぁこれはアカデミー賞級だわな、と感じた。もし全くストーリーの内容が理解できないとしても、2時間この作画をスクリーンで眺めるだけで2000円の価値はあると思う。

で、ストーリーについて、これはもう人によるとしか言いようがないのだが、自分は割とすんなり呑み込めた2。疲れていたのであまり難しいことを考えずフィーリングで見られたのが良かったんだと思う。もしかしたら今まで自分が難解だと思ってたジブリ作品もそうやって見るべきだったのかも、とちょっと気づきもあったりした。本作もいちいちこれが何のメタファーで〜この世界は〜という感じで見ると途端に破綻するというか、どこかで説明がつかなくなるような気がする。でも筋書きとしてはかなり王道かな?ラピュタ以来の真っ当な冒険物かもしれない。

これ以上ストーリーを掘り下げようとすると長くなりそうなのでもうまとめるが、個人的には現代ジブリ作品の難解さと和解できた良い作品だった。自分も年を経て宮崎駿イズムを呑み込めるようになったというか……話自体も千と千尋より好きかも。

繰り返しになりますがとにかくアニメーションが素晴らしいので、見てない人も(金曜ロードショーじゃなく)スクリーンで見ることをおすすめします。今やってるし。

 

最後に二つ!

タイトルは邦題よりも英題のほうがシンプルで好きだ。邦題はマーケティングありきというか、わざとタイトルから読み取らせないようにしている感じがちょっと見え透いている。

米津の曲は良かったがもっと合ってる曲があるような気がする。良かったけどね!

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